≪コラム≫「学び」を誤解しない

今回はいつもと趣向を変え、私たちセミナー・トレーナーにとっても「必読書」といっていい本をご紹介します。

Amazonでも教育・心理学部門で第1位の売れ行きだそうですから、すでにお読みになった方もおられるかもしれませんね。

 

使える脳の鍛え方~成功する学習の科学」(NTT出版)

ピーター・ブラウン+ヘンリー・ローディガー+マーク・マクダニエル 著


 

私たちセミナー・トレーナーの仕事は、セミナーを通して「学んだことを所属に持ち帰って実践して貰い、新しい成果を手に入れて貰うこと」です。

ですので、セミナーの最中は、学んで貰う知識やスキル、アイデアや気づきは、どれも忘れ去ってしまうことのないように参加者の方に働きかけ続けます。

 

そんな中、最も避けたいのが「それ、知っている」「わかっている」という感覚です。

皆さんも、誰かの話を聴いているとき、そう感じた途端に満足してしまい、興味関心がそれ以上湧かなくなった、関心が他へ逸れた、といったことがありませんか?

この本でも書かれている通り、「知っている」という感覚は学びへの意欲を阻害します。

 

本当に「知っている」「理解している」「活用できる」のであれば、それでもいいのです。

問題なのは、その感覚が「大いなる誤解」であるときです。

 

この本によると、「読んだだけ」「聞いただけ」でも、私たちは「知っている」「理解した」と誤解しやすいのだそうです。

ちょっと耳に痛い指摘です。

さらにこの本では、「大いなる誤解」を回避するための具体的で確かな方法を、豊富な事例と共に紹介してくれています。私たちがセミナー・トレーナーとして大切にしている在り方、方法と共通することが満載で、これまでの取り組みが理論的にも裏打ちされたと感じました。

 

ドキッとさせられたフレーズのひとつを最後にご紹介します。

「昔ながらのやり方*はいまも理論や、教訓や、直感のなかで生きているが、じつは落とし穴がある。――もっとも効果的な学習法は直感に反するのだ。」

*教科書の再読、同じ教科に集中して取り組むといった方法 

 

これからも参加者の「直感」を裏切る確かな手法で、研修を提供し続けて参ります。