今回のコラムは、相手のニーズにどう向き合うか?について。
相手のニーズ分析があらかじめできたら、きっと人間関係上のあらゆる問題が解決するのではないでしょうか。
お互いがお互いのニーズを認め合い、理解し、その実現に向けて手を差し伸べあうことができたら、そんなすばらしいことはありませんよね。
人の欲求をテーマにするとき、必ず話題に登場するのがマズローが唱えた欲求段階説です。
非常に有名な「自己実現理論」ですので、ご存知の方は大勢おられると思います。
下層の欲求が満たされることで、人はより上位の欲求を抱くようになる、という説です。
また、ある欲求が満たされていると、その欲求をさらに満たそうとするモチベーションは上がらないとも説きます。
例えば、もう充分お腹はいっぱいなのに、さらにご馳走を薦められても「もう結構」という気分になるといったことです。
さて、この時期、多くの企業や組織で「新入社員」の受入れ準備がスタートしています。
新入社員にこの会社で活躍して貰うためのものですが、彼らのニーズはどの程度見込んで設計されていますか?
新入社員研修は「いかに組織に馴染んで貰うか」がテーマになることが多いようです。欲求段階説でいうと「社会的欲求」を満たしそうなテーマですよね。新入社員が「とにかくこの会社の一員として認められたい!」と思っているのなら、研修テーマはニーズにマッチしていますから、きっと研修で学ぶことへのモチベーションは高いはずです。
一方、「自分らしく在るためにこの仕事を選んだ!」というニーズを持つ新入社員だとどうでしょう。「型にはめるような研修」では、ニーズが噛み合わず、意欲的に受講する姿勢に欠けてしまうかもしれません。
ところで、「最近の若い人」対策は、もうずっと昔から歴代の先輩方を悩ませてきました。
有名な逸話に、古代エジプトの遺跡からも「最近の若い連中は」と小言が書いてあるというのがありますよね。
私たちは何千年も同じ課題を克服できずにいるわけですが、その原因のひとつには、彼らのニーズをさておいた受入れ準備がなされてる、という実情があるのではないか、とみています。
受入れ側のニーズももちろん大切ですが、これから活躍することが期待される新入社員のニーズもそれと同じくらい大切です。
どうすれば両方のニーズを満たすことができるか、バランスをとれるか。
そう考えると、より柔軟にもっと工夫を凝らしたアイデアが湧いてきそうです。